資料は、県生物同好会会員の松下太氏の調査による(1994年、1995年調査 紀州生物.25号1996年)

  校内の草10種類のうち4種類(40%)は外国産の帰化植物(外国から入ってきた植物)です.(和歌山市内の小学校)
 

 道ばたや公園、学校にはどのような草がどのくらい生えているでしょうか?みなさんは観察したことがありますか.私たちのみのまわりには、日本の田や畑に昔から生えていた草(在来植物)と、外国から人のはたらきによって、日本に入り、ふえてきた草(帰化植物)があります.1994年と1995年に市内の小学校の校内に生えている草のしゅるいを調べました.その結果を見ると帰化植物がたいへん多いことにおどろかされます.平均した割合でいうと、校内の草10種類のうち、4種類は帰化植物ということになります.帰化植物がこのように多いのはどうしてでしょうか?
 人間が工場や港、家をつくるために海や田や畑をうめ立てたり、山をけずって平地にしたり、鉄道や道路を作ったりして、今まであった自然をこわして新しく地面を作ったところ(造成地)には、在来植物よりも荒地や新しい土に強い帰化植物がよく育ちます.ですから帰化植物が多いということは、そこの自然がそれだけ人の手によって乱されているということとなり、反対に帰化植物が少ないということは、それだけ昔の自然がそのまま残されているということです.草の種類を調べることによって、自然環境の変化がわかります.みなさんもまわりに生えている草をただの草としてみるのではなく、このような見方をすれば、自然環境の変化がわかります.日本の昔からの自然や風景は大切にしなければならないでしょう.
 学校に生える帰化植物は環境の変化のほんの一例です.日本の里山や森、田や畑、海や川、干潟などのあるいは地球規模の自然(生態系)はどんどんこわされています.自然(生態系)はわれわれ人間ヤ生き物が日本や地球で生きていく上の基盤となる大切なものです.これ以上こわさないようにみんなで努力しなければなりません.



 和歌山市内の各小学校内に生えていた草の全種類数と帰化植物の種類数をここに表しています.また生えていた草の全種類数に対する帰化植物の種類数の割合を帰化率といい%で表しています.市内の小学校の平均の帰化率は、39.1%で40%近い値になっています.最大は55%です。この結果を見ると、学校内の地面はかなり人の手によってかえられていて、日本古来の植物がかなり少なくなっていることがわかります.帰化率が20%台の低い学校は、学校内に日本の自然がまだ残っている貴重な学校でありますのでその自然の区域は野草園などと名前をつけてなるべく残しておきたいものです.
 



  
  









 学校に日本の在来種をよびもどす方法
  
 野草園を作ります.その中の土を、なるべく自然がよく残っていると思われる山の土や畑の土にいれかえます.これらの土の中には、在来種の種がたくさん入っているので、しばらくすると自然に芽が出てきます.あとは外来種が生えてくるとぬくといいです.

学校で見られた代表的な帰化植物



アレチノギク
あまり背が高くない.中心の茎より横から出ている枝のほう
がよく伸びる.
オオアレチノギク
大人の背よりも高くなる大型の草。まっすぐ伸びて多くの
花をつけます.


ヒメムカシヨモギ
オオアレチノギクによく似ているが、茎に毛が多い。花が小
さくたくさんつく。
マメカミツレ
小さな草で、花壇の隅には必ずといっていいほど生えて
いる.


セイタカアワダチソウ
アキノキリンソウとはちがいます.黄色い花ができます.
セイタカアワダチソウ
茎は茶色で、ちゃんばら遊びによく使います.


ムラサキカタバミ
すもうとり草としてよく使います.
よく似ている日本在来種のカタバミ


オランダミミナグサ
日本のハコベによく似ていますが、茎に毛が多く、くすんだ緑
色です.
よく似ている日本在来種のハコベ
あざやかな明るい緑色です.